岡山県立博物館
疫病を遠ざける力を持つと信じられた「白澤」
 岡山県立博物館へご寄贈いただいた資料に、『安政午秋箇労痢流行記』という本があります。これは、江戸だけで約3万人が死去したという1858(安政5)年に大流行したコレラ(「箇労痢」<ころり>)の様子を記した本です。
 今回はこの書籍の巻末に描かれている「白澤」(はくたく)という神獣を紹介します。

 「白澤」(はくたく)は中国の想像上の神獣で、人の言葉を理解し、徳のある王者がある時出現するといわれます。日本では、927年に完成した『延喜式』に祥瑞(しょうずい:めでたい前兆)としてあげられた中の一つに見えています。
 『安政午秋箇労痢流行記』の巻末に描かれた「白澤」は、人のような顔で背中に4つの角と6つの目を持っています。その絵の上には、「毎夜(よごと)このゑを枕にそへて臥すときハ凶(あしき)ゆめをみずもろもろの邪気をさくるなり」(「枕元におけば悪い夢を見ず、いろいろな邪気を避けることができる 」)と記されています。コレラの大流行に恐れをなした人々は、「白澤」の絵を枕元に置き、コレラなどの疫病から身を守ろうとしたのです。