岡山県立博物館
江戸時代後期の画家・司馬江漢(1747~1818)は、天明8(1788)年に長崎に向かった時の旅日記(西遊旅譚)を残しています。その後、それを再編集して出版したのが、この『画図西遊譚』です。今回掲載したページは、天明8年9月8日~11日までの部分ですが、伊部村の焼物を「備前焼」ということ、備前・備中には古墳の類が多いこと、岡山城下には裕福な者が多いことなどが記されています。この冊子では省略されていますが、この時、岡山で当時鴨方藩士だった浦上玉堂(1745~1820)と酒を酌み交わして交流を温めていたようです。また、11日の記事には、吉備津神社の鳴釜神事についての記載があり、江漢も深い関心を寄せています。ちなみに、この神事を題材にした怪異小説として著名な『雨月物語』が刊行されたのが安永5(1776)年で、江漢が旅する12年前のこと。出版メディアの隆盛は、当時の旅のルートに影響を与えたかもしれません。